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家庭菜園でのジャガイモ栽培。おすすめの品種と特徴のまとめ。プランターでも栽培可能

家庭菜園でのジャガイモ栽培。いろいろ品種があって、どれを選んでよいのかわからないので、調べてみました!

ジャガイモの歴史

「じゃがいも」の原産地は南米アンデスからメキシコにかかる高原地帯で、紀元後500年頃から栽培されていました。世界遺産である空中都市マチュ・ピチュの段々畑でもじゃがいもが栽培され、当時のインカ帝国の重要な食料となっていました。

その後、インカ帝国へ遠征を行ったスペイン人により16世紀頃、ヨーロッパへと広められます。

日本への伝来は慶長3年(1598年)にオランダ人がジャワ島のジャカルタから長崎に持ち込んだのが始まりで、ジャカルタを経由したイモであったことから、「ジャガタラ芋」と呼ばれジャガイモになったといわれています。(所説あり)

日本では北海道がジャガイモの一大産地となっていますが、高原地帯の原産であったジャガイモは北海道の気候に適合し、大々的に栽培されるようになりました。

ジャガイモの品種と特徴についてまとめます

「じゃがいも」は世界に約2,000の品種があると言われおり、現在、日本で一般的に流通しているものは約20種類です。また、品種改良も精力的に行われており、本日紹介するものは最近の品種がほとんどです。日頃スーパーで購入するジャガイモは、男爵かメークインのどちらかと思いますが、品種改良はこれらの定番品種よりも「良くしよう!」と改良されていますので、「定番」も良いですが、新しい品種にチャレンジした方が、育てやすさ、収穫量の面からもおすすめです。

ジャガイモの品種選びのポイントは下記です。

  • 生育スピード(収穫までの期間)や貯蔵期間、収穫量、食感、色等に違いがある
  • 芽が出ない期間を「休眠」と言い、休眠期間が長いほど芽が出にくい品種(保存期間が長い)
  • 品種により収穫量やイモ大きさが異なり、大きさのばらつき安さも異なる
  • 品種により料理用途や食感、色、甘み等が異なる
  • 病害虫への耐性の強さ

余談ですが、ジャガイモとサツマイモは同じ「イモ」ではありますが、食用とする分が実は違います。ジャガイモとして我々が食べているのは「茎」(塊茎)サツマイモは「根」(塊根)です。

ジャガイモの品種別特徴のまとめ

ジャガイモの品種をマトリクスにまとめました。品種選びの参考にしていただけたらと思います。

男爵

「じゃがいも」と言えば『男爵』というくらい、代表的な品種。1908年(明治41年)に函館ドック、当時の専務取締役である川田龍吉男爵が、イギリスのサットン商会から購入して試作をさせた中の『アイリッシュ・コブラー』という品種が広がり、後に川田男爵の名前にちなんで『男爵薯』と呼ばれるようになりました。北海道の北斗市には『男爵記念館』という男爵薯の記念館があります。

男爵記念館詳細の外部リンクはこちら

特徴
・生育の早い早生種で、栽培の適応性も広く、休眠期間はやや長めと家庭菜園で人気の品種
・休眠期間が長い為、保存性は良い
・栽培しやすく、穫期も早く、収穫量が多い。
・芽が深く、大きいイモは中心に空洞ができやすい

料理用途
・メークインよりもでんぷんが多く、ホクホクしている
・でんぷん質で粉ふきイモや、マッシュポテト、コロッケ、ポテトサラダ等に適している
・芋の形状がごつごつしているので皮がむきにくく、芽が深いので取りにくい
煮崩れしやすいので、煮物や炒め物には向かない

メークイン

19世紀末にイギリスでサドラーという人が栽培していたものを、サットン商会が世の中に紹介したものといわれています。日本へは大正時代にアメリカから日本に導入されました。名前の由来は、ヨーロッパのお祭りで、村の娘の中から選ばれる女王「メイ・クイーン」にちなんだものと言われています。

特徴
・休眠期間が長い為、保存性は良い
・芽が浅く、肉は黄色、粘質で舌触りが良く、低温で貯蔵すると甘みと粘質が増す
・イモの大きさにばらつきが多い。
・栽培期間中、イモが地表に出やすい→緑化しやすい

料理用途
・煮崩れが少ない品種。カレーやシチュー、肉じゃが等の煮物料理に適している
・しっとりとした舌ざわりが特徴

キタアカリ(農林29号:昭和62年)「男爵薯」×「ツニカ」

キタアカリは、1975年に北海道農業試験場でジャガイモシストセンチュウに抵抗力のある品種を開発すること、北海道の気候や土壌に合った品種を作ることを目的に開発された品種。1988年に品種登録されました。男爵を母としている為

、実が黄色みがかっていることから「黄金男爵」と呼ばれることもあります。

特徴
・生育が早く(早生種)、収穫量は男爵よりやや多い
・男爵より甘みが強い。クリジャガイモとも呼ばれる
・休眠期間が短い為、秋作には向く
・早生でビタミンCが多く、粉質で食味が良い(男爵薯の系統)
・湿地(水田からの転換畑)でも腐敗が少ない

料理用途
・男爵より荷崩れしやすい
・皮付きのふかしいもやレンジ調理に向く
・煮えやすい(男爵薯の2/3の時間で茹であがる)
煮物や炒め物には向かない。煮崩れしやすい。
・黄色くホクホクした食感
・じゃがバター、フライドポテト、ポテトサラダ等に適している

インカのめざめ(農林44号:平成14年)「W822229-5」×「P10173-5」

インカのめざめは、南米アンデス山脈地域が原産地で、インカ帝国時代から栽培され、古代インカ文明の重要な食糧源として利用されてきました。南米アンデスのお祭りでしか食べられなかった高級ジャガイモを、日本向けに改良し誕生した品種です。原産地であるアンデスにあったインカ帝国と、新らしさを意味する「めざめ」から「インカのめざめ」と名付けられました。いもの形は卵型で小粒、中の実は橙色に近い濃黄色です。ホクホクとした食感が特徴です。

特徴
・極早生種。小粒で収穫量は少なめ
・休眠期間が極わめて短い。保存性は悪く、収穫後は速やかに冷蔵保存が必要
・2℃から4℃の温度で保存する。貯蔵後すると甘みが増す。

料理用途
・皮ごと食べること可能。皮には食物繊維やビタミンCが豊富に含まれている
・栗のような風味と濃厚な味わいが特徴。欧米では「バターポテト」とも呼ばれている。
・でん粉価が高く煮崩れが少ない
・加熱後の色の変化も少ないので、ポテトチップスやフライドポテトにも適している

とうや (農林31号:平成4年)「R392-50」×「WB77025-2」

「とうや」は、1981年に誕生。ジャガイモシストセンチュウ抵抗性系統「R392-50」を母、Yモザイク病抵抗性の種間雑種系統「WB77025-2」を父として交配され、1992年に北海道の奨励品種に選定されました。「とうや」は、北海道の有名な湖である洞爺湖(とうやこ)から名付けられています。中の実が黄色く、気品のある味わいから「黄爵」とも呼ばれています。男爵に比べるとでんぷん質は低いものの、芽が浅く煮崩れしにくいのが特徴です。

特徴
芋の肥大が早く、丸くて大粒の多収品種
・生育が早い早生種で育てやすい品種なので、初心者向けの品種。
・休眠期間は中程度。
・粒の揃いの良さと収穫量は男爵により良い
・丸くて大粒で収穫量も多い
・株当りの茎の数が少なく、大いもになるので密植と少なめの施肥が適している
・芽は浅くて少ない。肉色は淡い黄色。肉質はなめらかでビタミンC含量も多い。

料理用途
・黄色いきめの細かい肉質で、男爵のようなホクホク感がある
・デンプン質がやや低い
・皮が剥きやすく変色しないので水につける必要がない
・ほのかな甘さが特徴。食感は滑らか
煮崩れしないので、煮物や炒め物、ポテトサラダ、あえ物に最適

十勝こがね (農林41号:平成12年)「R392-3」×「69095-17」

十勝こがねは、1986年に開発が開始され、2000年に新品種として登録されました。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性があり、早生で大粒、調理適性に優れた食用品種として開発されました。ジャガイモシストセンチュウに抵抗性のある「R392-3」を母とし、早生で大粒で外観に優れる「69095-17」を父として交配して育成されている品種です。

特徴
・早生。短い期間で収穫できる
・食べ応えのある大きさ、男爵よりも大きいイモが獲れる、形がそろう
芽の数が少なく、貯蔵性がある。長期保管できる、2か月。冷蔵庫なら4か月
・ジャガイモシストセンチュウ抵抗性があるが、疫病による塊茎腐敗には弱い。
・休眠期間がが長いため、保存性が良く、調理性にも優れている
・中心空洞が発生することがある。
・少し赤みがかった表皮。
・ホクホク感とねっとり感の両方を併せ持っている

料理用途
・芽が浅く形が良く、淡くきれいな黄色の肉色をしている
・食味は良く、ホクホクなのに煮崩れしにくい為、煮物に向く
・ポテトフライなどの油を用いる調理にも向きます。

デジマ (農林19号:昭和46年)「北海31号」×「ウンゼン」

ジャガイモ「デジマ」は、1970年春に西海13号の地方番号が付けられ、1971年に「ばれいしょ農林19号」として登録されました。江戸時代に外国への窓口であった長崎の出島にちなんで「デジマ」と命名されました。食味の良い「北海31号」と暖地向け品種の「ウンゼン」の血をひく品種。男爵系とメークイン系の中間のようなジャガイモで、メークインのようなネットリしたコクと、男爵系のようなホクホクした食感を併せ持つジャガイモ。

特徴
暖地で定番の品種。秋作に適した品種
・そうか病に強く、シストセンチュウにも抵抗性があり
・春作、秋作ともに多収で、表皮が滑らか
・形は球形で大きくなりやすい
・Yモザイク病には強いが青枯病には弱い
・肉質はやや粉質でホクホクと食味がよい。皮と肉色はともに淡黄色

料理用途
・皮がやわらかいので、皮ごと調理可能
幅広くいろいろな料理に使用できるマルチプレイヤー
・フライドポテトにすると「ホクホク」
・ポテトサラダにすると「クリーミー」
・おでんや煮物にすると「ねっとり」
・ほどよく煮崩れするので、肉じゃがをはじめ煮物にも使用可
・ほどよく煮崩れするので、ポテトサラダも作りやすい。コロッケにしても口当たりがよい
・春に出回る新じゃがは、皮ごと揚げたり蒸したりするのにピッタリ
・表面の凹凸が少なくなめらかで外観が美しく、食味が良い

春作なら「とうや」「十勝こがね」のどちらかがおすすめ?

「十勝こがね」も「とうや」もどちらも良く、悩ましいところですが、たくさん作るなら保存性が良い「十勝こがね」の方が良いかなと思いますので、私は十勝こがねの栽培をしてみることにします。

秋作なら「デジマ」「キタアカリ」のどちらかがおすすめ?

本日紹介した中では、秋作ならデジマかキタアカリ。イモとしての料理の汎用性等を考えると、「デジマ」が良いと思います。

2月後半からはいよいよジャガイモの植え付け時期です。1月後半には種イモをそろえ、芽出しをする時期になります。ことしのジャガイモ栽培の成功を目指して、いろいろ勉強していきましょう!

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