ジャガイモは相性の悪い野菜が非常に多い野菜です。前作、後作をよく考えて栽培しましょう!
春に何も考えずにジャガイモを植えるのはNG
●じゃがいもはほとんどの野菜と相性が悪い
ジャガイモは同じナス科はもちろんのこと。きゅうり、カボチャ、ピーマン等。ほとんどの作物の連作障害を引き起こすきっかけとなってしまうほど、相性の悪い野菜が多いので、前作、混植、後作をしっかり考えなければならない野菜です。
●じゃがいもはセンチュウや害虫を呼び寄せる
さらに、ジャガイモはセンチュウ(ネグサレセンチュウ)やテントウムシダマシといった害虫を呼び寄せる等、厄介な存在です。
●掘り残しのじゃがいもにも注意
収穫時はすべてのジャガイモを完全に掘り起こすということは難しいと思いますが、掘り残しの残渣も3~4年目後に他の野菜に影響をおよぼしますので、ジャガイモを作る際は畑のあちこちで作るのではなく、専用区画を決めて栽培することが重要です。
ジャガイモの混植、リレーにおすすめな組み合わせは?
●工夫をすれば、じゃがいもは一年中育てることが可能
ネギと混植&リレー栽培を繰り返して、ジャガイモ栽培ゾーンを専用区画化すれば、ネギとジャガイモを一年中作ることが可能です。
●混植する野菜は根深ネギとつるなしインゲン
春は根深ネギと共にツルなしインゲンを混植することが良く、マメ科の植物の根に共生する根粒菌の働きによって栄養が供給され、ジャガイモの収穫量がUPします。
ただ、インゲンはセンチュウを増やすので、センチュウ被害がある畑ではインゲンは避けた方が良いです。
代わりに他のマメ科植物(枝豆)などを混植すれば同じ効果を得られますので、時期的にも枝豆をセレクトするのが無難と思います。
●ネギやインゲンの混植は大きなイモの収穫につながる
ジャガイモは暑さに弱い作物なので地温が25℃を終えると枯れてしまいますが、ネギとインゲンがあると適度な日陰ができて、地温が抑える効果があり、じゃがいもの栽培期間を延ばすことができ、結果、大きなイモの収穫につながります。
●ネギの混植は病害虫を軽減する
ネギを植えるとミミズや微生物が集まって有機物をどんどん分解する為、ジャガイモに良い効果をもたらします。
ジャガイモには完熟していない有機物は毒。病原菌や害虫の被害を受けやすくなりますが、ネギを混植するとこの被害を軽減できます。
●ネギの混植は害虫の忌避効果もある
ネギの刺激的なにおいは害虫のテントウムシダマシにも忌避効果を発揮します。
ネギはなぜ連作障害対策になるのか?
ネギの根に共生する拮抗菌が抗生物質を分泌して土壌を消毒し、連作障害を防ぐ効果があります。また、センチュウを抑える効果もあります。
ジャガイモの残渣はネギにとっては良い栄養源となるので、栽培後は土にすき込むと肥料効果を発揮するなど、最高のパートナーがネギという感じです。
ジャガイモのリレー栽培はネギ一択!
●専用区画を2つ作って春と秋で入れ替える!
ジャガイモを栽培するなら、どちらにしても区画を専用にしなければならないので、春作、秋作ともにジャガイモを栽培し、かつ、連作したいというのであれば、専用区画を2つ作り、ネギとジャガイモの位置を春と秋で変えて交互連作すれば、春と秋にネギとジャガイモが年2回収穫できます。
インゲンを混植できるのは時期的に春作のみとなります。
ジャガイモと他の野菜の相性は?
ジャガイモと相性の良い野菜
◆トウモロコシ 混植〇 前作〇
ジャガイモと肥料養分が競合せず30cm以上離して隣に植えると相性が良いです。トウモロコシはインゲンとの相性も良いので、インゲン、ジャガイモ、トウモロコシは最高に相性が良い組み合わせです。
◆マリーゴールド 混植、前後作共に〇
マリーゴールドがセンチュウを減らすのは有名な話ですが、混植なら後作へのセンチュウの影響を抑える効果があります。ジャガイモの収穫後は一緒に土にすき込むと良いです。
◆大根 前作× 後作〇
大根はネコブセンチュウに寄生されても発症しないので、ジャガイモの栽培ででネコブセンチュウが増えたとしても、後作に大根の栽培はOKです。
逆はNG。
大根の後のジャガイモ栽培は収量が落ちるので大根を挟んで翌春のジャガイモ栽培は得策ではありません。
結果、ジャガイモとのリレー栽培はネギの方が適しています。
◆バジル 混植〇
ジャガイモに来るテントウムシダマシに忌避効果があり、余計な水分を吸って疫病を予防するという効果があります。
バジルは他のナス科の野菜にも良い効果をもたらせるので、夏野菜の混植野菜としてはあった方が良い野菜です。
ジャガイモと相性の悪い野菜は?
◆カボチャ
混植もリレー栽培もおこなわない方が良いです。
同じ科の野菜は同じような性質を持ち合わせるので、養分等を取り合い、相性が悪いのが通例です。
特にきゅうり、スイカ、メロンとの相性は最悪。
ネコブセンチュウを増やして、病気が多発しますので要注意です。
◆キャベツ
アブラナ科の野菜もジャガイモとの相性が悪い野菜。混植もリレー栽培も×。
キャベツはジャガイモの近くで育てると結球しなくなります。
カブやブロッコリーは一応育ちますが、カブは肌が汚くなったり、粒がそろわない等、生育が悪くなる為、避けた方が良いです。
◆ショウガ
これは最悪の相性です。混植もリレー栽培も×。
ショウガはジャガイモがかかりやすい根こぶ病に弱い為、ジャガイモの茎葉をマルチに使うだけで育ちが悪くなるほど相性が悪いので注意です。
◆トマト
ジャガイモと同じナス科の野菜はすべての病害虫を共有し、養分も取り合う為NG。
混植やリレー栽培をすると連作障害を引き起こすので、避けましょう。
ジャガイモの病害虫
◆病気:モザイク病、疫病、そうか病、粉状そうか病
◆害虫:アブラムシ類、ヨトウムシ類、タバコガ類、テントウムシダマシ
ジャガイモの病気のリスクを低減させるためには・・・
ジャガイモは肥料をあまり必要としないので堆肥も元肥も入れずに耕し育てるのが良いと思います。肥料っけのない土で育てたほうが味も保存性も良くなります。
収穫したジャガイモの表面にかさぶたのような病斑ができることがありますが、これはそうか病という放線菌(細菌)による病気で、アルカリ性土壌で出やすくなります。
有機石灰や草木灰等、土壌をアルカリ性にするような資材は施さない方が無難です。
そうか病のじゃがいも↓
粉状そうか病という病気がありますが、この症状もイモの肌が荒れます。
そうか病は放線菌による病気でしたが、こちらはカビによる病気。種芋が感染していることもありますので健全なイモを使い、水はけのいい畝で育てることで防げます。
そうか病、粉状そうか病に感染しても、皮を剥けばどちらも食べることが可能です。
ジャガイモの種イモ選別
病気のリスクを抑えるために種芋はホームセンターや種苗店で購入したものを使いましょう。大きさは50gが最適ですが、販売されているものは100g程度のものが多いです。
秋植えの場合は地温が高いため、切ると腐りやすくなりますので、小さ目のイモをそのまま植え付けるのが良いです。
大きい種芋を使用するときは半分にカットし、切り口からの病気の侵入を防ぐため、2~3日日陰に並べてしっかり乾かします。
すぐに植える際は切り口に草木灰をつけることで病気の予防ができます。(昔小学校で習いました)
ジャガイモの害虫のリスクを低減するためには・・・
ジャガイモはそもそも、肥料っけのない土壌でよく育つということから、肥料を与えすぎないというのがポイントです。
肥料を控えればアブラムシ類やテントウムシダマシの被害を抑えることにもつながります。
春作の収穫後、残渣を畑に残したままにすると、テントウムシダマシの産卵場所になってしまうので、早めにすき込み、ネギのリレー栽培の準備に備えましょう。