野菜の病害虫の発生原因と、農薬を使わず病害虫を防御する方法をまとめました。
害虫とは野菜に害を与え、生育を阻害する昆虫の総称です
昆虫ではないダニ、センチュウ、ナメクジなども野菜に害を与えるので一般的に害虫と呼ばれます。
私も昨年はナメクジにバジルの新芽を一晩で食べられ、一晩で葉っぱがゼロに。
トマトにはコナジラミがたくさんつき、黄化葉巻病に。
農薬は使うのが怖いので、自然にあるものでどうやって害虫を防ぐのか?それを勉強してみました。
野菜を食べる害虫と体液を吸う害虫の2種類の害虫がいます
害虫には食害タイプと吸汁タイプの2タイプの害虫がいます。
どちらもそれぞれ厄介です。私の経験からは吸汁タイプは病気を媒介してしまう為、食害タイプより厄介ではないか?と思います。
昨年トマトに「タバココナジラミ」が付き、黄化葉巻病を発症しトマトがほぼすべて全滅しました。
こんなことも起こるのが「害虫の被害」ですので、しっかり予防・対策をしていく必要があります。
↓この真ん中にいる白いやつがコナジラミです。大量に発生し、駆除しても次から次へと
湧き出てきます。農薬以外、完全に駆除するのは無理ではないかと思いました。
①食害タイプ
●食害タイプの害虫は葉や茎等を食べてしまいます
私のバジルのように、苗が小さい時等に食害に合うとTHE ENDです。ある程度、大きくなれば、多少食べられてもびくともしませんが、特に苗が小さい時期は防虫ネット等をかけて、ある程度大きくなるまではしっかり防護しておいた方が無難です。
とはいえ、植物が大きくなっても被害が大きいと植物の生長に影響します。
また、傷口が病原菌の侵入口となりウイルス感染等を引き起こすこともありますので、なるべく食べられないように対策をしましょう!
●防虫ネットである程度防げる
食害タイプは「防虫ネット」である程度防げます。
ただ、背が高くなるような野菜を育てる場合は、野菜をすっぽり防虫ネットで覆うことは難しいので、この後説明するような、益虫を増やしたり、そもそも虫を寄せ付けないような工夫をすることで被害が大きくなるのを防ぐことが大事です。
②吸汁タイプ
吸汁タイプは葉や茎に口針を刺して野菜の汁液を吸います。
吸汁タイプはウイルスを伝染させる虫がいますので厄介です。
代表的な虫はアブラムシやコナジラミですが、コナシラミはトマトに寄生して黄化葉巻病を媒介します。先述の通り、私も昨年、コナジラミが大量発生し、トマトがすべて黄化葉巻病になってしまいました。
こちらもある程度は防虫ネットで防げますが、コナジラミはかなり小さい為、目の細かい専用のネットを使う必要があります。
私の経験からは、ほんの少しの隙間でも、コナジラミ入ってくるので、コナジラミを防虫ネットで防ぐのは至難の業と思います。
黄化葉巻病は、トマト黄化葉巻ウイルス(TYLCV)によって引き起こされるウイルス性の病気です。トマト、ミニトマト、ヒャクニチソウ、トルコギキョウ、インゲン、ピーマンなどに感染することが確認されており、国内で広く発生が認められます ※ネットAI検索より引用
一番の防虫は野菜を健康的に育てること!
野菜が健康的に育つと、野菜の持つ辛味成分や苦み成分等がしっかり生成され、虫への防御態勢が高まります。
アブラナ科のグルコシレートという辛味成分、トマトのリコピン、玉ねぎのアリシン等は害虫予防に有効な物質です。
これらの成分は虫にとっては毒で、虫が食べると殺虫効果がありますが、野菜が健康に育っていないと、これらの成分量が減ってしまうため、虫の体内に入る量が減り、虫の体内で分解され無毒化されてしまいます。
害虫が増えやすい条件
1、天敵が少ない
●生態系のバランスを意図的に作ることが予防につながります。
植物によって、その植物を好む虫の種類も異なる為、特定の害虫が寄ってくる植物だけを育てるのではなく、混植を行い、天敵も意図的に集めるというイメージで生態系のバランスを混植により意図的に整えます。
農薬を使うと、天敵も殺してしまうため、虫が発生するたびに散布し続けなければならないので、益虫を呼び、生態系のバランスを整える方が、良いのではないか?と思います。
2、肥料のやりすぎ
●肥料過多は害虫の被害を拡大させます
肥料はついつい多く与えすぎてしまいがちですが、特に窒素肥料の過多が問題です。
虫は体を作るのに窒素を必要とする為、窒素の豊富な植物に集る傾向があります。
肥料過多の野菜は虫が育つ為の栄養(窒素)をたくさん含んでおり、幼虫が育つ為の養分を豊富に含んでいる為、卵も産み付けられやすくなってしまいます。
酢に含まれるクエン酸が植物のエネルギー回路を活性化させ、養分がエネルギーに代わるのを促進させるという効果があります。窒素過多になってしまった場合は、肥料を吸い上げる作物を育てる(緑肥作物等)のも有効ですが、植物が育つまで効果が出ない為、酢を野菜の表面に散布し、代謝を上げるということの方が有効かともいます。
酢は木酢液等でも効果はありますが、米酢やミカン酢、リンゴ酢などの食酢を400~1000倍に薄めて葉全体に(裏面も)吹きかければOKです。
元気のない野菜も代謝が上がるので元気になります。
農薬を使わない基本的な害虫の対処方
見つけ次第「捕殺」
葉に卵のようなものが産みつけられているのを発見した際は、つぶすか葉っぱごと切り取り、処分します。
「昆虫寄生菌」を利用した殺虫法
すべての虫に有効ではありませんが、特定の虫には有効な方法です。この方法は虫を完全に息絶えさせず、昆虫寄生菌という菌を増殖させ、生きた虫に寄生させることで害虫を絶命させるという手法です。
●やり方
完全に殺さないように下半身をつぶして葉の上に放置するだけです。ひん死の重症を負わせるというイメージです。
こうすることで昆虫寄生菌が増え、かなり早いスピードで畑中に広がります。
昆虫寄生菌は生きた虫に寄生し、寄生された虫は栄養を吸い取られ、やがて息絶えます。
●この手法が有効な虫
タバコガ類、スズメガ類、ヨトウムシ類、アワノメイガ、アオムシ
●捕殺した方が良い虫
テントウムシダマシ、カメムシ、バッタ等
農薬を使わない害虫の予防法
①バンカープランツを植える
ソルゴーやライムギ等の緑肥作物はアブラムシが繁殖しやすく、それを狙って天敵のテントウムシやヒラタアブなどが集まります。
また、アブラムシがウイルスに感染していた際も、野菜につく前にバンカープランツを吸汁するとウイルスがバンカープランツに移り、アブラムシの体内にウイルスがいなくなります。その後、野菜を吸汁しても、野菜に病気が移らないということになります。
どんなものがバンカープランツになるのか?
イネ科の緑肥作物他、マメ科の緑肥作物、マリーゴールドやヒマワリなどもバンカープランツとして利用されます。畑に花を植えるとアザミウマ等を引き付け野菜を守ってくれます。
ハーブの「ポリジ」もアブラムシの天敵であるアブラバチを呼び寄せるのでバンカープランツとして利用されます。
ポリジがアブラムシに吸汁されるとポリジが信号を発し、アブラバチがアブラムシの体内に産卵をします。
緑肥作物とは、栽培した作物を収穫せず、そのまま土にすき込むことで土壌を改善する植物です。緑肥作物は、主にイネ科やマメ科の植物が使われます。緑肥作物をすき込むことで、植物体(有機物)が分解されて「腐植」という非常によい土壌に変わってきます。また、緑肥は新鮮な有機物で、すき込まれると土壌中の微生物が増殖し、速やかに分解が進みます ※ネットAIより引用
②畑に天敵(益虫を増やす)
テントウムシ類
- ナナホシテントウ
2か月の寿命で生涯に数千匹のアブラムシを捕食します。 - ナナホシテントウの幼虫
幼虫期間は3週間。この間に約400匹のアブラムシを捕食します。 - ナミテントウ
一日起きに約30個の卵を産卵します - キイロテントウ
黄色店頭は菌を食べるテントウムシのようでうどん粉病のカビ菌を食べるよます。
その他の天敵
- ヒラタアブ(幼虫)
ヒラタアブの幼虫は幼虫期に500匹以上のアブラムシを吸汁します - カマキリ
バッタや蝶等、多くの害虫を捕食します。 - クモ
ガやイモムシを中心に多くの害虫を捕食します。 - カエル
多くの害虫を捕食。カエルは田んぼにいるイメージですが、それは繁殖期だけで、普段は木の上で生活をして昆虫を食べています。 - ハチ
イモムシ等を捕食します
③忌避効果のある野菜と混植する
コンパニオンプランツと同じですが、忌避効果のある野菜と混植をすることで、特定の害虫が寄ってくることを防ぐことができます。
野菜の組み合わせによっては相性の悪いものがありますので注意は必要ですが、それぞれ、どの野菜がどんな虫に対して忌避効果があるかをかきだしましたので参考にしてください。
- パセリ、ナスタチウム、セロリ→アブラムシ
- ハツカダイコン→ウリハムシ
- インゲン→アワノメイガ
- トウモロコシ→フキノメイガ
- レタス→キアゲハ
- リーフレタス(赤)→ヨトウガ、モンシロチョウ
- ニラ→ダイコンハムシ
- カモミール→アザミウマ
- ネギ→テトウムシダマシ
- 人参→カメムシ
- 枝豆→キアゲハ
- シュンギク→ダイコンハムシ